ハムスターの複雑骨折の治療

ハムスターの骨折は良くある症例です。一般的にケージ内で骨折する場合は金属ゲージを使った飼い方に見られます。御存知のようにハムスターはリスと違って樹上生活を行いません。其の手足は木の枝にしがみ付く機能が有りません。金属フェンスが横に張って有るゲージでは梯子の様に上に登りますがしがみ付けないので落っこちて骨折します。また回し車の設置に問題が有る場合は隙間等に挟んで骨折する場合もあります。また複数飼いで喧嘩して、噛み傷で頭骨などに穴や陥没を作る場合も有ります。ゲージ外での骨折は、高所よりの落下・家具に挟んだり・人が踏んづけたりと、可也の重症で持ち込まれる場合が多いです。骨折の部位は手足・背骨・骨盤・頭骨などですが、手足以外の骨折では飼主様が気付かない場合が有ります。また、骨折後の大変な痛みによりハムスターが興奮状態に為り易く1晩中騒ぎまくって、折れた骨が皮膚を突き破って出血してから気が付く場合も多いです。手足が折れても何故か?持ち上げてカバウ事が出来ないので折れた手足で動き回って骨が飛び出す事になります。(複雑骨折)    骨折とは骨が折れた状態ですが体内で折れたままで外に突き出ない状態を単純骨折と言います。一般的に化膿菌などの細菌感染を受けていません。同時に内出血も起こしています。神経や筋肉等も破壊されている場合も有ります。骨折部位を動かさない様にする必要が有ります。もう一つ更に悪い状態が複雑骨折です。複雑とは骨の折れた数や形の問題では有りません。無理に動かしたり折れた足を使うと骨が筋肉や皮膚を突き破って外に出てきます。骨が体外へ突き出た状態を複雑骨折と言います。出血も酷くなり、必ず細菌感染(化膿菌)を起こして傷の化膿や敗血症(化膿菌が血液に運ばれて体中で化膿が飛び火した状態、致死的状態になります)を起こします。痛みや腫れが激しくなります。折れた足の先には血液の循環が途絶えてしまいます。生命に直ぐ影響する状態です。放置するとトテモ危険な状態です。

症例1.飼主様の話では、『何となく2晩前から騒がしかったです、今日掃除の時に、床のアチコチに出血しているのと足がブラブラしているのに気が付きました。ずっと血が出続けているようです。』   金属フェンスと回し車の隙間に足を挟んで骨折した症例です。フェンス登りも良くやっていたそうです。

右足のスネを骨折後1〜2日放置されたので皮膚と筋肉の大半が切れてしまっています。大出血もしています。でも折れた足をかばう事も出来ないで、痛みのせいか激しく動き回ります。

折れた先の方はバンバンに腫れています。全身的な皮膚の色も暗くなっています。痛みのために飲んだり食べたりしないので糞尿も少ないです。
細い骨が突き出ています。ハムスター本人も気にしてしきりに嘗めたり噛んだりしています。この折れた骨の先端で周りの組織を壊してしまった様です。
細菌感染が進んでいます。既に敗血症も起こしているようです。血液の循環も途絶えているようなので通常の骨折修復手術は無理と判断しました。
やむを得ず、敗血症から命を救うために、壊死し始めた右足を断脚手術する事となりました。感染症に対抗するためには出血量を最小限に留めなければなりません。また、術後の痛みも無いようにしないと傷口を気にして自分でいじってしまいます。
この症例では高周波メスと炭酸ガスレーザーメスを使って止血しました。血行が乏しくなった右足先は早くも少し臭い始めています。
長い骨がむき出しになっています。骨の先端部は汚染されて化膿が始まっています。
脇においてある赤い物は出血を拭き取った丸めたガーゼです。この手術では此れだけの出血量で抑えることが出来ました。輸血が不可能な動物では無血手術が望ましいです。
断脚が完了して傷口を縫合しています。真下に見えるの細長い物が切断した足です。
折角手術が上手くいっても傷口が痛むとハムスターがしきりに嘗めたり噛んだりします、そうすると傷口が化膿したり開いたりします、ですから上手く行った手術ほど痛みが無く気にしません。
手術終了直前です。毛が茶色いのは施術中の消毒剤です。化膿のせいで残った太腿もバンバンに腫れています。それにしても小さい傷口の割には沢山の縫い目の数ですね良くなると好いですね。
手術後3日目です。御蔭様で腐った足先が無事に取れて食欲元気も戻って来ました。新聞紙も掘り返してボロボロにしてくれました。心配していた傷口も今のところ余り気にしていません、良かったー。
赤黒かった全身の皮膚も穏やかな色に戻りつつあります。草食動物の治療では為るべく抗生物質を使わぬように工夫しなければいけません。使ったソバカラ副作用が発現して自然治癒力の低下や体力の喪失を引き起こします。
当院ではこの様なデリケートな草食動物でも確り体力を回復出来るように、特別な回復プログラムが用意してあります。動物に合った治療方法を独自に開発して施しておりますのでドンドン元気が戻ります。
出血で失った血液が回復できるように造血治療もやっておきましょう。日増しに食欲や元気が増えてきて、大きなウンチがプリプリ出ています。1日の便の数が30〜40個以上が体重回復の必須条件になります。
3本足になりましたが、以前と変わりない元気さで走り回っています大切な命が助かって良かったですね。体に優しい無添加フード(ニッパイのハムスターフード)に換えて長生きさせて下さい。
ABC動物病院からの御願いです。
高所からの落下で骨折や内臓の打撲、また金属フェンスを齧る事で歯を折ったりしやすいです。金属ゲージを御使いの方は特に御注意下さい。
早期の骨折(骨が突き出していない単純骨折の状態)であれば、特殊な器具を使ったピンニング(折れた骨の中に特殊金属ピンを刺して骨を繋ぎます、人間の骨折手術では1番多く用いられる方法です。)によって、断脚せずに全く元通りに骨折を治せます。当院ではジャンがリアンハムスター・クラスでもこの手術が出来る技術が有ります。
大切なハムスターが万一不幸にも骨折してしまった場合は迷わずに早期にABC動物病院で綺麗に元通りに治してあげて下さい。

単純骨折の場合の治療方法

レントゲン検査で骨折の状況が綺麗であれば接骨固定のみの保存治療を行う場合も有ります。痛みが直ぐに消えないのと、悪化する危険も有りますが、多少の骨の向きや長さが狂ったりする後遺症が残りますが骨を繋ぐ事が出来ます。(大昔からの接骨治療が此れに当たります。) もう一つ現代的・進歩的な治療では人間と同様に骨折した骨に特殊金属を挿入して確り固定します。こちらの方法では直ぐに痛みが取れて足の機能不全などの後遺症が残りません。極小動物では高度の医療技術が必要になりますが、当院では良い成績を上げております。

ABC動物病院の健康・医療のページ

ホームページのフロントへは下のアンダーラインをクリックして下さい。