歯の病気に御注意下さい。

動物の歯には3通りあります。人のように乳歯と永久歯のみで、歯列が完成したら伸びが止まるもの。ネズミやウサギの様に一生伸び続けるもの。サメやワニの様に抜けても生え変わるもの。 人間の歯の病気で多いのは、虫歯と歯槽膿漏でしょう。 歯槽膿漏は動物でも多くて犬やネコなどでオクチが臭かったり、歯が抜けたりしているのが気になった方も多いと思います。 人間の歯科医療界では80/20運動?と言う健康キャンペーンがあるそうです。80歳になっても残歯20本を目指そう。と言う事らしいです。健康な長生きのためには歯を大切にする必要が有るそうです。もちろん、動物においても同じ事が言えます。人間と違って苦しみを中々表現出来ない立場ですが、歯が何本か抜けてしまう程に病気が進行している場合は、お口だけでなく体のあちこちに合併症が出来てしまいます。そもそも歯が抜けてしまうのは、歯を支えていた頭の骨や顎の骨が腐って溶けてしまった事によります。原因は化膿菌が歯と歯肉の密着を壊して歯茎の奥深く進入する所から始まります。歯と歯肉の密着が壊れた部分は歯周ポケットと言われます。化膿菌が食べカスやミネラルと結合した歯石になって貯まります。虫歯ほど激しい痛みを伴いませんので人間の場合でも自覚症状の発現が遅れる場合が多いです。骨を腐らせて溶かすには数ヶ月から何年も掛かりますので、其の間に炎症の部位から血液中に化膿菌や炎症産生物が血液中に流れ込みます。これ等の有害物質によって心臓や血管の内膜炎(血行障害や血栓症を起こす)・心臓弁膜症(心臓弁の閉鎖障害による血液の逆流と肺のうっ血)・腎臓の糸球体腎炎(腎臓のフィルターに有害物質が詰まって壊れる、尿毒症を起こす)・肝臓障害・全身の血栓症や血行障害・貧血症・など数え上げたらキリが有りません。まだまだ元気で居られた臓器が次々と傷ついていきます。体の中で化膿が長年続く場所は少ないですが、歯槽膿漏だけは別です。誰もが罹り易い病気ですので口腔衛生に気をつけましょう。歯磨きなどのお手入れが1番効果的です。ペットの場合は細菌やウイルスなどの感染症・食習慣・歯列の噛み合わせ・飼主様の関心度や定期的チェック・生活年齢・体の抵抗力や免疫力・唾液の分泌量や唾液の性状などが大きく関わります。

奥歯(臼歯)周辺に歯石が形成されています。

こちら側は更に酷くなっています。歯肉が後退して歯根部がむき出しになっています。歯肉炎による歯肉の過形成もあります。お口の痛みで食欲が落ちています。

歯石の除去後の状態です。歯石は綺麗に取れていますが、今まで歯石があった部分の歯茎は歯肉炎が酷く出血も起こっています。でも炎症の原因になる歯石が無くなったので歯肉が元気を回復する事が出来ます。10日ぐらいお口を消毒してあげると歯茎の炎症が治リ始めます。
此方も歯石除去後の状態です。やはり歯根部まで侵されてむき出しになっています。未だグラグラしていませんので、何とか炎症を沈めて歯が長持ちできるようにさせなければいけません。

放置すると、腎臓病や肝臓病、心臓の病気の引き金になって寿命を著しく縮める恐れが有ります。

糸球体腎炎: 長年にわたる歯周病からの炎症性物質が体内に取り込まれて腎臓のフィルターを駄目にしてしまう、腎臓が壊れていく恐ろしい病気です。腎臓は組織再生能力が無い為に、一度壊れると元には戻りません。血液中から毒素を取り除く事が出来なくなります。そのうち尿毒症が始まって、食欲不振・慢性の吐気・脳の機能障害をおこして死亡に至ります。エサが食べれるから大丈夫と安心していると大切なペットを早死にさせてしまいます。お口の病気は他の病気と違って何時でも飼主様が病変の有無をチェックできます。口臭や歯茎の発赤・腫れ・ヨダレ・エサの食べにくさ・お口の痛み・出血・歯石の有無など見て簡単に発見できます。どうか毎週ペットのお口の中をチェックしてあげて下さい。