大量の岩石を飲み込んだカメさんです。苦しんで吐いています。カメの消化管内異物除去手術 カメの甲羅切り カメの開腹手術 

カメに良く見られる症例ですが、消化管の中に大量の異物を飲み込んでしまったカメさんです。千葉県からいらっしゃいました。激しい胃腸炎が起こって苦しんでいます。吐き気が有りトテモつらい状態です。消化管内の異物は、それ自体が消化管の粘膜を傷付けて、消化管の内容物がお腹の中に漏れて、激しい腹膜炎と敗血症を起こして死に至ります。また、消化管を統括している自律神経を傷害して、耐え難い苦痛と吐き気や下痢や食欲廃絶などの消化器症状を起こします。
ABC動物病院では、高度医療を御用意しておりますので、内視鏡を使った無切開手術で、体に優しく異物の取り除きが出来る場合も有りますが、今回のカメさんでは、数十個以上の岩石で胃が限界にパンパンの状態でしたので、破裂する危険が有りました。また胃以外の場所にも岩石が有りましたので、内視鏡での手術の限界を超えています。甲羅を開ける開腹手術が選択されました。靴下一杯に岩石を詰め込んだような危険な状態ですので、胃腸が破裂しないように、また他の臓器が圧迫されないように、緊急に・慎重に安全な手術を行う必要があります。

とても大きな亀さんですので、1枚のレントゲンフィルムに全てが入り切りませんでしたが、消化管に異物(多分石ころと思われる物が多数詰まっています。まるで人間の大脳の様に見えている白い塊は、胃や腸に大量の岩石が集まっている所と思われます。 ほんの数個の石なら、内視鏡を 使って一個一個取り出せますが今回は甲羅の切開手術を行う必要があります。         

お腹側の甲羅を少しずつ切れ目を入れて行きます。大きな亀の場合は厚みが有りますので、時間がかかります。出血させないようにする事は言うまでも有りません

何とか切開が完了しました。手術が終了すると又、この甲羅の破片でお腹側の甲羅を閉じなければなりませんので、成るべく切れ込みの幅を少なくしてあげる工夫をしました。ダメージが少ないほど甲羅の癒合に有利です。

推定では大きなメロン位の岩石群の塊が胃腸を圧迫しているので、無闇に亀を引っ繰り返したり、長時間放置したりすると、胃腸が破けたり、肺や血管や心臓などの他の臓器が圧迫されて亀が死亡する危険が高いので、正常の姿勢のまま亀を持ち上げて手術を行う特殊な手術方法を選択しました。でも、手術する側にとって、すごく遣り辛い姿勢です。でも、患者さんである亀さんへの負担が減らせるなら、人間は我慢しましょう。

余計な出血を防いだり、余計な組織の破壊を避けながらの手術方法ですので、大変時間が掛かりましたが、亀への負担は最小限にする事ができました。やっと岩石を含んだ胃腸が現れてきました。とても重いです。今にも破けそうですので、更に慎重に切開を加えます。切開すると傷ついた消化管の粘膜と大量の血液があふれ出てきました。やはり生身の体の中で一番デリケートな胃腸の粘膜には、大量のゴツゴツした石は大変なダメージを与えたようです。石以外にも色々な物が詰まっていました。全ての物を丁寧に取り除いて胃腸の穴を丁寧に綺麗に縫合しました。既に腹膜炎を併発していると思われますので、今後の回復が大変心配されます。

大量の泥と血液が混ざったものが取り出されましたが、余計なものを洗い流した後には、このような物が残りました。青緑のプラスティックは、ホワイトボードやスティール家具に貼り付ける大型のマグネットです。白い大きな塊はビニール袋です。折れ曲がった針金が数本有りました。長い牧草の繊維が結構沢山混じっていました。其の他は、大量の砂や小砂利と、大量の岩石です。全体の重さは4kg近く有りました。よく食べたものです。

この亀さんが何故岩石を沢山食べてしまったのか?考察したところ、なんと、この大きな甲羅でも、カルシウムが結構不足していて、場所によると力を入れて押すと甲羅が、タワム所もあります。本来は、地中海沿岸などのように非常に石灰岩や大理石が豊富な地域に生息しているので、原産地の土砂を食べることで、手軽にカルシウムの補給が出来る具合になっています。亀さんは、もっとカルシウムが欲しかったんですね。 皆さん御飼いの亀さんにカルシウムを沢山与えてください。

手術後は体力を戻さなければいけません。食欲が出てきていませんので、強制給餌する必要があります。

さあ、頑張って食べましょうね。動物看護士の松山さんが食事の介助をしてくれます。さあ頑張って食べましょね。

未だ、食欲が出ないけど、食べさせてもらえるから食べようかなー。あんまり味も良くわからない感じだなー。

持ち上げるのが一番難しいです。甲羅と足の間に指先を挟まれないように気をつけてください。30kgぐらい有りますので慎重に。

毎日楽しみの温浴です。体を温めて血の巡りを良くして、水分もたっぷりと補給してください。

歩く足捌きにも何となく力が出てきました。

邪魔な物があってもなんのその。我が道を行きます。

ナント賢い事に、自分のお部屋を間違えずに帰る事が出来ます。段差も楽に乗り越えて行きます。元気が出て着てよかったですね。

この中に好きな物があるでしょうか?頑張って自分でも食べてくださいな。

元気が戻ってきて、自分からも食べてくれます。何せ大きいので、ヨッポド沢山食べなくてはいけません。でも、ようやく退院の目処がつきそうです。頑張った甲斐があったね。

こちらは、特に繊維質を多くしたカメの特別治療食です。お腹の中を元気にしてくれる工夫がして有りますので、頑張って全部食べてくださいな。

主治医の太田院長(本院)です。早く元気になって飼主様の元に帰ろうね。

手術を担当した高崎院長(分院)です。確り食べなきゃいかんよ。

手術直後より眼が元気になったようです。