ウサギのお口の周りに腫れ物は有りませんか?

ウサギやモルモットやプレーリードッグで御口の周辺に腫れ物が出来て、ダンダン大きくなる事が良く有ります。年齢に特に関係せずに若い場合でも、年取っている場合でも良く起こります。腫瘍との鑑別診断が必要ですが、ホンの僅かな傷口から侵入した化膿菌によって大きな膿瘍を形成している場合が多いです。放って置くと次第にアチコチ体の具合が悪くなり、敗血症などの全身症状が起こって死亡します。始めの症状は少し眼の周りが赤い、涙や目やにが増えた、と言った具合で、食欲は無くなる場合も有りますが、そのまま食べ続ける場合もあります。死の機転は突然訪れます。元気そうだったのが、急変して引き付けや奇声を発して死亡します。急死する理由は化膿菌の毒素が脳神経に及んで脳膜炎を起こしたり、血液中に侵入してアナフィラキシーショックを起こす物と思われます。また、そもそもウサギの場合は、トテモ痛みがあっても、それを表現する手段が無く、飼主様に異変を判ってもらえないのが実情です。

チェックポイント:                                               
御口の周りや体の表面にシコリや腫れ物は無いか?眼の周りは赤くないか?涙や目やには出ていないか?御口の周りはヨダレや食べた物で汚れていないか?鼻の穴や上唇の裂け目は綺麗なピンク色をしているか?体重の減少やウンチやオシッコの量は減っていないか?呼吸は荒くないか?食欲は正常か?お腹が膨らんでいないか?

未だ食欲は有るがだんだんアゴの下が腫れてきた1歳6ヶ月のウサギさんです。しきりに頭の近くを痒がっている様です。

見ただけでは腫瘍か膿瘍か判りにくいですが、アゴの下は大きく腫れて硬くなっています。御口の中を検査する器具を使うとトテモ嫌がりますので痛みがあるようです。放置すると危険ですので、試験切開をして、腫瘍の場合は摘出手術。膿瘍の場合は排出・洗浄の治療を行う事をお勧めしました。

後日再来院されて、手術を御希望との事ですので預かりました。おうちではペットシーツを使っているそうです。

頭部顔面ですのでガス麻酔の掛け方に苦労しますが、毛を刈って見ると下顎の骨に密着しています。バリカンで刈れないサボテンのトゲ状の毛の塊がアチコチ林立しています。自分で足で掻いて皮膚に傷をつけて、其処からの浸出液で毛が固まったようです。

頭が見えるようにするとアゴ下の塊が良く見えます。皮膚も通常より赤くなっています。試しに先に小さな針で抜いてみましたら、臭いクリーム状の膿の汁が抜けてきました。膿瘍です。膿瘍は既に化膿菌の塊ですので、周りの健康な部分に化膿菌をばら撒かないように特に注意が必要です。また血管を傷つけると、血液によって化膿菌が体の他所の場所に運ばれる危険が有ります。

一番腫れ物の下の部分に切開を入れます。ウサギの膿瘍の膿は濃縮してチーズのように詰まっています。少しずつ掻き出します。

奥の方からドンドン出てきます。治りを良くする為には丁寧に何度も何度も膿を拭い取ってあげます。

何度も頑張って膿を拭い取った後に、穴の中を覗いてみると、一番奥のほうに綺麗に白い物が見えます。多分あごの骨が見えているようです。

此処まで膿を出して綺麗になったので、此れから確り治ってくれるでしょうか?穴の周りには、未だ壊死しきっていない組織も有りますが、すっかり壊死組織が排出されるまでに長い日数が掛かりますので、完全に中身が治るまで、この切開した穴は、そのままにして、膿を排出する排出孔の役目をしてもらいます。

良く見ると足の皮膚もガサガサして赤くなっています。多少敗血症が始まっているようです。全身状態は思ったよりも悪いようです。

手術が終わってしばらくしてからです。普通の手術と違って、排膿のために大きく開けた穴がそのままなので、トテモ痛々しいです。此れから頑張って傷が治るように体力が回復するでしょうか?飼主様には早速今日からペットシーツは使わないように御願いしました。何故なら、抗菌剤を含むペットシーツが側にあるだけで、腸内の善玉微生物が死滅して、代わりに悪玉菌と入れ替わります。悪玉菌はペットシーツがあっても生き残れますので、それが小さな傷から侵入して悪性の化膿病巣(膿瘍)を作る原因になります。ウッカリすると大事なペットの周りには悪玉菌(病原菌)だけが集まって来ます。非常に危険でストレスの多い生活です。お勧めしません。

手術後4日目です。お家では余り消毒が出来なかったそうでrス。また炎症を抑えて腸内微生物を復活させるABC動物病院オリジナルのお薬があるのですが、其方も余り飲ませていないそうです。病院では素直ですがお家ではヤンチャなのがチョッと残念ですが、病院では甘いヨーグルトに混ぜれば割と素直に飲んでくれました。少し壊死部分が残っていますが、チョッとづつ良くなっていました。

この病気は基本的にウサギに対して抗菌剤などのストレスを掛け続けた為に、正常な無害の常在菌が居なくなって、体のアチコチに悪玉菌がハビコル為に起こります。またウサギはストレスによって免疫力や抵抗力も低下して居る為に自分の力では治す事が出来なくなっています。

と言う訳で、ウサギにとって一番大切な治療はABC動物病院の唱える『ストレス開放治療が一番効果があります。』実際は、抗生物質に頼らない。人間が巡り合う前の野生本来のウサギの体に戻してあげる。自然の恵みを受け入れる。等の要素が盛り込まれます。

手術後8日目です。手術後貧血の治療と免疫力や解毒力を上げる為の注射に3回ぐらい通ってもらいました。このウサギさんはABC動物病院ではトテモ協力的で、お薬も飼主様に代わって飲ませると良く飲んでくれます。とにかく抵抗力の低下が原因になりますので、ウッカリすると又、再発する場合が多いのでクレグレモご注意ください。

腫れが引いて目立たなくなりました。未だ若いので長生きして貰いたいです。

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ウサギの膿瘍(下顎膿瘍)の手術