大きな腫瘍が破裂しそうになっていました、危機一髪!

此方のウサギさんは、じつは症例21のウサギさん(アリちゃん)の同居のウサギさん(メイちゃん)です。チョッと年上で7才8ヶ月です。既に御紹介したように、同居のウサギさん(アリちゃん6才)が血尿が出て調子が悪いのでABC動物病院で調べてみたら子宮と卵巣の癌の病気でしたので、飼主様も気になってもう一匹のウサギさんを確かめた所、なんとなく以前からお腹が張っていたそうです。ほんの少しオシッコに出血を発見されたそうです。ABC動物病院で卵巣や子宮の腫瘍の診断を下して緊急手術する事になりました。

フラッシュが反射して良く見えませんが、目の周りが少し赤くなっている事が判るでしょうか?体を触って判る事は、耳の血管が細く血液の循環が悪そうです。、お腹に力が入っていてお腹が痛そうです。

飼っていたウサギに死なれた飼主様に御話しを聞くと、亡くなる少し前から目の周りが赤くなっていた事に気づいた以外は何も異変は無かったという答えが多く聞かれます。言葉が話せないウサギさん達にとって目の周りの異変は大変な病気のサインである事が有ります。飼主の皆様は御注意ください。皆様!御注目ください。お耳の色も白っぽくて冴えません。ウサギにとって耳の血管は、飼主様にも良く判る健康のバロメーターです。

さーこれから手術をスタートします。高齢ですので、一番気を使うのが安全な麻酔方法です。症例21
のウサギさん(アリちゃん)と同様に少し乳腺炎も併発しています。切開ラインにもコンデンスミルクの様な濃厚な物が充満しています。既に細菌感染をしているようですので、決してミルクを漏らさない様に要注意です。

こちらに黄色く見えているのが、細菌感染を起こしている乳腺組織です。濃厚なミルクが充満しています。傷が付くと手術の傷を化膿させます。

これはビックリです!腹壁を慎重に開けると、真下に大きな子宮の腫瘍(子宮ガン)が見えてきました。アチコチ少し出血もしているようです。これではお腹が痛いのもうなづけます。たぶんこれはホンの一部でしょうから、此れから先が思いやられます。とーってもマズイ状態です。

チョッと変です!体の前方に向けて開口部を広げると腫瘍の大きな塊に、何か別の物が被さっています。これは肝臓でしょうか?正常な肝臓は小豆のようなエンジ色ですが、この肝臓は色が変わっています。子宮ガンにピッタリ接触していますが大丈夫でしょうか?

子宮の腫瘍の一部は表面の膜が壊れてポリープ状に変形して、少しずつ血液が漏れ出している所があります。漏れ出すのは血液だけでしょうか?癌細胞も漏れ出している危険が大きいです。所謂、癌性腹膜炎を起こしているようです。トッテモ危険な状態です。これ以上の手術はアキラメなければならないかも知れません。安全に癌組織を取り出せる可能性が薄くなって来ました。ムムムッ、とってもマズイです。

こちらは左側の卵巣です(黄色く見えている部分)。直ぐそばにある。太い赤いヒモ状の物は、トッテモ太くなった卵巣動脈です。出血させると一発あの世行きです。

頑張って、手術を成功させなければなりません。非常に難易度の高い危険な手術ですが、ウサギの命を助けなければなりません。アキラメたら死なせるしかありません。卵巣動脈は、どうも此れ以上引っ張り出すことが出来ません。無理をすると千切れて絶体絶命に為ります。ABC動物病院の最高度の手術技術で切り抜けられるでしょうか?

左側の卵巣がヤットはっきり見えて来ました。周りを取り囲むように2本の太い卵巣動脈があります。この血管は後大動脈に直接つながっているので、最重要の危険な血管です。無理して引っ張り出せない理由はこの血管を傷つけたらアウトだからです。この時点で見えていない腹腔内での手術で卵巣動脈の血液遮断に成功しています。

次は場所を変えて子宮体部です、此処もトッテモ大きいです。右側の子宮角にはコブ状の子宮ガンが発達しています。トテモ慎重に扱わないと、無駄な出血と癌細胞のバラまきを起こしてしまいます。為るべく触らないように気をつけましょう。引っ張るなんてトンデモナイ!

次は右側の子宮角の上方をたどって卵巣方面を探って見ましょう。右の子宮角は左に比べると大きなコブは少ないのですが、考えが甘かったです。スッゴク大きく太くなって恐ろしいぐらいです。緊急警報です!此れ以上は引っ張り出せませんので、マイッタナー此方は後回しにしましょう。何処かと癒着などしている可能性も有ります。キーンとトテモ張り詰めた空気が流れます。(もしかして此れ以上無理かも???)

体の後方にある子宮体部の方から攻めて行きます。此方にもとっても太い、中子宮動脈が有りますので、それを上手く止血処理する事が重要です。念のために縛りを数回繰り返します。

手前に見える楕円形の大きな塊が、先ほど右側の子宮角の前方に覗いていた太く危険な部分です。何とか無事に引き出すことに成功しました。本当に、途中まで泣きたい位にアキラメムードでしたが、今回も動物を愛する神様が見方してくれたようです。光明が明明と見えてきました。神様サンキュー!

小さなウサギに如何してこんな物が?当然カヨッテイル血管はスッゴク太いです。

黄色く見えているのが右側の卵巣です。矢張り太い卵巣動脈がそばを流れています。こちら側も此れ以上は引き出せません。頑張って腹腔内で卵巣動脈を血行遮断しなければなりません。

黄色っぽい塊は脂肪ですがこの中にも子宮広間幕の血管が隠れています。ホンの僅かな出血も見逃すと、血行出血が進みます。その理由は子宮や卵巣に大量の血液を流そうとするモードになっているために血圧が高く、また腫瘍の為に、通常よりも血液が固まりにくく為っているからです。良く聞かれる事ですが、無事手術が終了してもその2日〜3日後に死亡するケースは、この様な持続する出血を完全に遮断することに成功していない為だと考えられます。『大きなダムの崩壊も蟻の一穴からという諺があります。』細心の緊張と注意を持続させましょう。

卵巣動脈の遮断も成功して、卵巣の上方でヤット切り離しです。多分出血はしないはずなんですが、やはり怖くてハサミの先が震えます。ブルブルブル。足がガクガクガク。肩がコリコリコリ。首もモーずーっと同じ姿勢なので固まって曲がらなくなっています。疲労困憊ですが、メイちゃんの命が掛かっています、頑張らなくっちゃ。

ドヒャーッ、大きすぎる、大きすぎる。どーんと疲れました。今回だけはトテモ無理なのではとアキラメかけていたのですが、命の神様に感謝いたします。何処もかしこも癌だらけですが取り外しに成功しました。

さーて、これから閉復縫合ですが、やっぱり気になるのが子宮の癌に密着していた肝臓の具合です。肝臓を包んでいる将膜は正常では透明なのですが、白く濁った感じです。また肝臓の組織もベージュ色に変色していますので、肝臓の組織も壊れている様子です。頑張って元のエンジ色の元気な肝臓に回復するでしょうか?それとも既に癌細胞が侵入して転移性の肝臓癌に発展するでしょうか?命の神様、このウサギちゃん(メイちゃん)を助けてあげてください!

症例22のウサギさん(アリちゃん)と同様に乳腺炎を起こしているのでバイ菌が手術の傷口を汚染する危険が高いです。ABC動物病院の特別の技術で綺麗に縫合が終了致しました。良く見ると乳腺組織が血走っているのが判ります。ホルモンの性で乳腺組織を発達させるモードがオンになっているのですが、安全な麻酔と手術に成功したので、手術前よりも血液の循環が良くなった為も有るのでしょうか?

手術が終わって入院室に戻った直後です。長時間の大変な手術に良く耐えられたものです。『ZZZ・・・・。』まだ反応は無いようです。はたしてABC動物病院の手術は、このウサギさん(メイちゃん)にとって助けになったのでしょうか?これから元気や食欲が出てくるでしょうか?お腹の痛みは解消できるでしょうか?癌細胞の腹腔内拡散や肝臓への転移は防げるでしょうか?難問はこれからも山積みです。

チョッと元気が戻ってきました。青梗菜なら食べるそうです。 ふーっ。少しホッとしました。君自身が頑張らないと、癌に打ち勝てないよ、傷も良く治らないからね。(もちろん、お腹の善玉微生物君達の事も忘れていませんよ。みんなで頑張ってね!)

手術した日の夜8時ごろでしょうか?やっと普通に動き出しています。皆さん!、メイちゃんのお耳に注目ください。まだ麻酔と手術の影響も有るのでしょうか?耳は白っぽいですね。(そう言えば、もともと血色は良くなかったんですよね。)。)

手術の翌日です(手術後1日目)。皆さん!また御注目ください!メイちゃんのお耳が赤い血管が判る様になって来ました。全身の血液の循環もスコブル良くなって来ている証拠です。

チョッとピンボケですが、耳も触ると少し暖かいようです。食欲も手術後の最初の晩から有るようです。よかったです。これで元気や免疫力が帰ってくるでしょう。

傷の具合も問題ないようです。痛みや違和感も少ないようで、お腹をな舐めていないようです。良かったです。

手術後3日目です。昨日よりも動きが軽快です。手術前よりも楽になっている気がします。でもあれだけの大きな腫瘍を取り出したので、大きな血管をいくつも縛り上げています。無理をすると又出血する恐れがあります。確り安静に養生しましょうね。

おっと、元気が出すぎて写真がブレてしまいました。今日も耳の血管は太くて良い感じです。病院でのお薬をこぼさないで上手く飲んでチョーダイネ。

手術後4日目です。生き生きして来たのが判りますね。可也の長い間、誰にも知られずにズーット続いていた大変な苦しみから、ヤット解放されたのでしょう。メイちゃんは、もともとヤンチャ君ですので、これからはバリバリ、アクセル全開で調子を上げてくれる事でしょう。飼主様も心配が少しほぐれるかも知れません。今後とも、癌に為りやすい体質を改善して、免疫力をアップして、健康で長生きしなくっちゃ駄目だよ。その為にはお腹の善玉バクテリアを大切にしてね。ABC動物病院は今後とも手助けしますからね!

ウサギの卵巣・子宮・の腫瘍(癌)の手術

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